JSIBDの支援のもとヤンセンファーマ株式会社が実施している臨床研究「クローン病患者の発端コホートレジストリ研究 (iCREST-CD)」の中間解析の結果がJournal of Gastroenterologyに掲載されました。

2022年8月5日

JSIBDの支援のもとヤンセンファーマ株式会社が実施している臨床研究「クローン病患者の発端コホートレジストリ研究 (iCREST-CD)」の中間解析の結果がJournal of Gastroenterologyに掲載されました。

「クローン病患者の発端コホートレジストリ研究 (iCREST-CD)」は、JSIBDの支援のもと、ヤンセンファーマ株式会社が実施しているレジストリです。iCREST-CDでは、2016年6月から2020年6月までに新規に診断されたクローン病患者を登録し、4年間治療内容、臨床経過、予後を追跡することで、日本におけるクローン病の患者像、治療、長期経過などを把握し、クローン病診療の発展へつなげることを目的としています。国内の19施設が参加しており、日本のクローン病患者の約1%に相当する673名が登録されています。

Title: Characteristics of adult patients newly diagnosed with Crohn’s disease: interim analysis of the nation-wide inception cohort registry study of patients with Crohn’s disease in Japan (iCREST-CD)

今回の論文では、中間解析として診断時の患者人口統計、診断手順、疾患特性について報告しました。
登録された673人の患者のうち、672人 (99.9%)を解析しました。男女比は2:1、診断時年齢の中央値は25歳 (範囲13~86歳)、最も多かった診断時年齢層は20~24歳でした。病変部位は回結腸型 (L3)が60.1%と最も頻度が高く、疾患動態では非狭窄・非穿通型 (B1)が62.8%と最も頻度が高い結果でした。48.9%が肛門周囲病変を有していました。特に注目すべきは、年齢別の分析により、クローン病診断時年齢40歳未満と40歳以上の患者では、男女比 (2.5 / 1.3)、病変部位 (L3: 66.3% / 37.0%)、疾患動態 (B1: 66.4% / 50.0%)、肛門周囲病変 (55.7% / 20.5%)が異なることが明らかになりました。
この研究の結果により、日本で新たにクローン病と診断された患者の人口統計と疾患の特徴が明らかになり、診断時の年齢が40歳未満と40歳以上の患者で、疾患の表現型が異なるということが分かりました。

PDFはhttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35930087/よりダウンロードできます。

臨床疫学委員会
担当理事:久松 理一
委 員 長:松岡 克善

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